【高周波用語集】雑音指数

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雑音指数とは

増幅器(アンプ)はレベルの小さい信号を扱い易いレベルまで大きくする装置です。単純に電力利得20dBのアンプといえば、100倍増幅する能力を持っています。
この時、理想のアンプであれば入力信号を20dB増幅した信号が出力端に出てきます。
ところがアンプの中では増幅素子までの通過損失や増幅素子自体でも熱雑音が発生するため、この雑音成分も一緒に増幅してしまいます。当然これらの雑音成分が少ないことが良いアンプということになります。

信号レベル(S)と雑音レベル(N)の比をS/N比(エスエヌ比)と呼んでいます。入力信号にも雑音成分が含まれているため入力信号のSi/Ni、アンプを通過した出力信号をSo/Noとするとその比をとったものを雑音指数(Noise Figure)と呼んでいます。
即ち、雑音指数Fは

F= (Si/Ni)/(So/No)

熱雑音電力は絶対温度Tでは一定でありボルツマン定数K、帯域幅をB、アンプ利得をGとすると

F=No/G・KTB

即ち、アンプの利得G、帯域幅Bが分かっている場合は、雑音電力を測定すれば雑音指数が計算できます。一般には、デシベルの方が扱いやすいので

F(dB)=10log(No)-10log(G・KTB)
=No(dBm)-G(dB)-KTB(dBm)

通常、T=290°Kを使用します。

ボルツマン定数K=1.38×10-23(J/°K)

F(dB)=No(dBm)-G(dB)-B(dB)-174(dBm)

となります。

雑音指数説明図

雑音指数の測定

アンプの入力端を特性インピーダンスと等しい抵抗で終端し、スペクトラムアナライザでそのときの1Hz当りのノイズ電力Noを測定すれば、帯域幅Bの項は1(0dB)となり雑音指数が測定できることになります。

ただこの方法は、雑音指数が小さいときにはスペクトラムアナライザ自体のノイズレベルが高いので、アンプを通過した際に増加するノイズ電力を測ることが難しく正確に測定できない事があります。
このため、正確に雑音指数を測定するには、Noise Figure Analyzerなどの専用測定器を使用します。
(詳しくは測定器メーカーサイトにてご確認下さい)

多段増幅器の総合雑音指数

アンプが複数段接続された場合の総合雑音指数はどうなるでしょうか。
各段のアンプの雑音指数の利得をG1,G2・・・Gn、雑音指数をF1,F2・・・Fnとし、多段接続した場合のアンプの総合利得をGsys、また総合雑音指数をFsysとします。
(注:この場合の利得及び雑音指数はデシベルではなく真数です)

雑音指数説明図

この系の総合雑音指数Fsysは

Fsys=F1+{(F2-1)/G1} +{(F3-1)/G1・G2} +・・・+{(Fn-1)/G1・G2・・・・Gn-1}

この式で直感的に言えることは、アンプの利得が十分大きければ、3段目以降の雑音指数は無視できるレベルとなります。
従ってプリアンプ段には雑音指数の小さい低雑音アンプ(LNA)を使用すれば後段のアンプには雑音指数には余り気を使う必要がありません。
即ち、初段のアンプ利得が100倍(20dB)、2段目の雑音指数10(10dB)としても2段目の雑音指数の増加分は9/100ですので、0.09しか影響しないのです。
実際にはこの計算値をデシベル値に直しますので、殆ど初段アンプの雑音指数(dB)となります。

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